■竹馬の友である鈴木孝平君が、卓話をするために、わざわざ沼津に来てくれました。小中学校をともにしたとはいえ、クラスが一緒だったわけでもなく、なぜこれほど長い間付き合うことができたのかは、実は不思議なほどです。

 とにかく、誠実な彼の人間的な魅力が、これほど長い付き合いを私にさせているのでしょう。以下の卓話は、彼の社会人としての経験をもとに、ごくごく一部を披露してくれたものですが、とても興味深いものでした。また、彼は、私が思っていた以上に、お話が上手でした。会員の皆様も、きっと興味津々で聞いてくれたものと確信しています。

 遠いところを、本当にありがとうございました。

久しぶりに再会して。例会場にて。 夜は一杯やりました
澄代とは大の仲良し。本当に楽しい一時でした。
■■ 卓話 鈴木孝平 ■■

 EUに参加する国そして参加しない国
  −加盟の利益と加盟しない利益をめぐる攻防ー

 欧州連合(EU)は発足以来、「深化」と「拡大」の歴史を創ってきた。2004年の5月には新たな10カ国を加え、加盟総数は25カ国となり文字通りEUは拡大する。本日はEUに加盟したい国々と、反対にむしろ加盟しない国々の立場を浮き彫りにすることにより、EUとは何かに対する回答と日本の今後の行く末を考える際の一助にしていただければと思う。

 EUは1つの会員制クラブのようなもので、入会するには会員資格がいる。欧州のどの国も加盟できるわけではない。実際待たされている国がまだ数多い。1つ加盟基準を挙げれば、財政赤字がその国のGDPの3%以内であるという条件がある。これは相当厳しいもので仮に日本が欧州にあったとしても今の日本の状況では加盟不可能だ。また基本的な政策、例えば金融政策1つとってもEUの基準に従わなければならない。環境や食品の衛生基準に関してもかなり厳しいEUの基準に統合させることが必要だ。つまり従来国家の専売特許であった権限が相当程度ブラッセル(EU本部)に委譲されることになる。

 一方、加盟反対派のノルウェーやスイスはどのように考えているのだろうか。
加盟反対国の共通点はそれぞれの国が豊かであり、産業構造もしっかりとした民度の高い国であることだ。スイスを例にとれば、この国はまず永世中立国であることもさることながら(もっとも隣のオーストリアは永世中立を標榜しながらもEUに加盟した)、金融をはじめ、精密工業、化学、食品、観光の分野それぞれ1つとっても、その国際競争力はピカ一だ。つまり今更EUに依存する必要がないわけだ。加盟すれば相当の拠出がいるし、メリットよりデメリットの方が大きいと国民が国民投票を通じて判断している。したがって政府も非加盟の立場を採らざるを得ない。スイスがEUに加盟したときが世紀の大実験といわれる欧州連合が成功したといえる時なのかもしれない。



卓話をする鈴木孝平君

卓話の様子はこのビデオでどうぞ?