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イラクへの米英軍の軍事行動に抗議して、米国製品の不買運動を呼びかける声がインターネットに流れている、との記事を読みました。こうした不買運動は心情的には理解できるものの、稚拙であるばかりでなく、いささか滑稽にすら私には思えるのです。なぜなら、こうした不買運動を呼びかけるメイルの95%は米国製の基本ソフト、ウインドウズによって稼働しているパソコンから発信されているからです。まるで、1950年代のキャデラックに乗りながら、地球温暖化の危険性を説いて回るようなものです。 冷戦の終結により唯一の超大国となったアメリカの行動を諌められる存在は無くなった、とも言われます。EUをバックに仏・独が、かろうじてノンと言い張ったものの、古臭い欧州、と一蹴されました。軍事力では誰も及ばない米国の強さを支えるものは、しかしながら決してそれだけではないのです。私流に三本柱を挙げれば、それが巡航ミサイル・ハリウッド・ウインドウズなのです。 今回ノンと言い続けたフランスは、またアメリカ製音楽、テレビ番組の放映に関しても厳しい制限をかけています。グローバリゼーションが進むなかで、「文化的な例外」を擁護し、ラジオではフランスの音楽を少なくとも40%流すという割当を定め、またテレビでは外国、特に米国からの映画とシリーズの放送を制限していました。アメリカ流生活様式は映画・テレビとともに世界に拡がって行ったのです。 そしてウインドウズです。年間一億台が販売され、世界中の生活をまさに根底から変革しつつあるパソコンの95%は、この米国製の基本ソフトで動いています。一私企業の製品ですから特許に固く防御され、その中身を窺い知ることはできません。化学構造の分からない医薬品で患者さんを治療し続けているようなものです。国の基本骨格たる住民基本台帳ネットが、日本ではこのウインドウズで稼働している事実は世界の笑いものになっている、という指摘もあります。中国とアメリカがもし将来戦争状態に入ったら、アメリカはインターネットを通じてウインドウズで稼働する中国のパソコンを発狂させ社会を大混乱に陥れることにより勝利を画策するのではないか、と江沢民国家主席が深刻に苦慮している、との報道が流れました。良くできたジョークではすまないそら恐ろしさが、そこにはあるのです。 不買運動などを呼びかけるより、リナックスなどのオープンな基本ソフト使用を推進する事の方が、よほど焦眉の急なのです。国家の安全保障とは、某国からのミサイルに備えるだけではない、という事実に、私たちは一刻も早く気づくべきなのです。 |