「かたわらの笑顔」
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99年08月


  人はみな幸せになりたいと願っています。ただし、こうしたら幸せになれます、というマクドナルド・ハンバーガーのマニュアルのようなものはありません。蜃気楼のように、追い求めていくと逃げていくような、そんな気がしてなりません。
  人生の達人と言われる人々がいます。絵に描いたような幸せを取り揃えた人々です。よくハリウッドの映画に出てきそうな、美しい妻と一等地の邸宅と、子ども達は一流大学で学んでいる、そんな人々がいることも事実です。

   人は望めば望むほど、現実との乖離に悩みます。といって、達観しているような人生はとてもおくれそうもありません。この八月二十一日に四十六歳になった今の心境を、綴ってみました。求めなければ得られない、さりとてそればかりを追い求めてもつかめない、得体の知れない幸せという女神は、意外と身近に寄り添っていてくれるような気もします。

    幸せは、意外とかたわらの笑顔の中にあるのではないか?、そしてそれならどんな人にもつくり出す能力があるのではないか。つまりは幸せを掴める可能性があるのではないか。子どもたちが日々の生活の中で、自分にもそんな力があるのだ、ということが実感できれば、きっと自分に対する見方を変えられるのではないか。そんな思いで書きました。