お前のいる場所だ
(水曜日:晴れ)
■今日のタイトルは『イソップ寓話集』のなかに出てくる、狼が子山羊(こやぎ)に向かって放った言葉です。「オレを罵っているのはおまえじゃない、おまえのいる場所だ」。『この言葉! (PHP新書) by 森本 哲郎(Kindle)』の中には、
イソップはこの寓話に、「しばしば場所や時期というものが、強い者に対して挑む勇気を与えることを、この話は語っています」と、「教訓」をつけている。
だが、この狼の言葉を、ぽくは別様に解釈したい。弱者の勇気というより、何かの威を借りて強がる卑劣さを噴ったものとして。
と、あります。つまり、この時家の中にいた子山羊が、外を通りかかる狼に向かって、悪ロを言ってからかったわけですが、安全な場所にいながらにして強がりを言っているわけです。大きな組織を背景にしたり、権力者の後ろ盾のもとで大言壮語するようなものです。
しかし考えてみれば、私達が普段接する発言の殆どは、背景とともにある、と言っても過言ではありません。それぞれの地位が発言させているのであって、いわばすっぴんの状態での発言など、社会の中で生きている限り通常はあり得ません。
名刺を失ったとたん、青菜に塩のような状態になってしまう人がいますが、名刺を離れて、人間力に惹かれて時を共にしたい、と思える人は、そうそうはいないものです。